21世紀になり、間もなく20年が経過しようとしていますが、世の中はインターネットの普及とその使われ方が進化することによって今大きく変わろうとしています。
前の世紀に常識であった現金の経済、ひいては銀行の存在、終身雇用、さらには家や家族の在り方までもが変わりつつあります。そして経済構造そのものを大きく変えようとしているのが「シェアリングエコノミー」といわれる大きな動きです。
そこで今回は、シェアリングエコノミーについて改めて復習してみましょう。
2000年初頭に始まったインターネットによる情報共有の動きに乗って、どんどんシェアリングエコノミーは広がりつつあります。
2015年12月にはシェアリングエコノミーの普及や発展を目的に、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が設立されました。その会員数は今や2000社以上に増加し、日本でもシェアリングエコノミーが浸透してきていることをうかがわせます。
2016年ごろからは政府がシェアリングエコノミーの推進役を担うようにまでなってきました。
1987年ごろのスイス。車は利用したいが、利用回数が少ないので個人で買うつもりはないという人達、約30名が共同出資で2台の車を買ったのが シェアリングエコノミーの始まりだといわれています。
その後インターネットが普及すると、アメリカを中心に次々と新しいシェアリングのサービスが生まれてきました。
2007年、アメリカの美術大学の卒業生2人が、イベントの際にホテルに泊まれない人がでてきたことに目を付けて一般の部屋を宿泊場所として提供するシステムを考え出しました。これが「Airbnb(エアビーアンドビー)」の初期バージョンです。
2008年12月の 「LeWeb テクノロジー・カンファレンス」で聞いた内容から発想を得て、携帯電話を利用すればハイヤーサービスの料金を下げられるのではないかと考えたトラビス・カラニックという人物が、2009年3月に始めた「 UberCab(ウーバーキャブ)」というハイヤーサービスを始めました。これが、現在の「Uber(ウーバー)」。
あのザッカーバーグ氏のFacebookが始まったのが2004年ですから、この前後5年間くらいに多くのインターネットによる革命的なサービスが始まったと言えます。
AirbnbもUberも、利用者の急激な伸びを背景に営業エリアを拡大し、その後3年ほどの期間で次々と新しい出資者から資金を獲得して急速に成長しました。
現在、創業からわずか10年ほどにもかかわらず、今や両社の市場はアメリカのみならずアジア各国など世界に広がり、押しも押されもせぬ巨大企業となりました。
この背景には、 インターネットと携帯端末の急速な普及が挙げられます。クラウドなど情報共有技術の革新と、ユーザーの位置情報や嗜好などのパーソナルな情報がビジネスに利用されるようになったことが大きな要因です。
このように、アメリカを中心に広がったシェアリングエコノミー、日本ではどうでしょうか。ITを活用した日本のシェアリングサービスを分野別にご紹介します。
カーシェアは、最も利用されているシェアリングエコノミーといってもよいでしょう。
先にご紹介したUberは、個人所有の車で利用者を運搬するハイヤーサービスです。これは日本ではいわゆる「白タク行為」と呼ばれ違法にあたるため、2015年にサービスは中止されました。
日本でのカーシェアは、レンタカー会社や駐車場経営会社が行っている例があります。トヨタもレンタカーやリースのサービスとは別の新規事業の位置づけでカーシェア事業を開始しています。
洋服やバッグも次々と購入して所有すると増えすぎて、やがて処置に困ってしまうもののひとつです。しかしながら毎日違うものを着ていきたい、持って行きたいと思うのも当然。
それに、冠婚葬祭、入学式や卒業式の時にしか着ない、一生のうち数回しか着ない、持って行かないのではないかというものもあります。洋服やバッグこそシェアリングに適した商品の一つでしょう。
駐車場、オフィス、自宅の開いた部屋、アパートの空き部屋など、いろいろな「場所」がマッチングによってシェアされるようになってきています。
例えば、宿泊場所のシェアは、観光で来日する外国人にも人気です。民泊もすっかり定着した感があります。
目的地の近くの駐車場にあらかじめ駐車場を確保しておくためのアプリもあり、着いてから駐車場を探してうろうろする必要もなくなるなど、不動産の利用形態は明らかに変化しつつあります。
採用する側にとっては、雇用は「リスク」であるといえます。給与水準や有給休暇など法律通りに施行するのは、特に中小企業にとっては大きな負担です。 正社員で雇用するとなると容易に解雇もできないため、採用にも慎重になります。
そこで、 必要な時に必要なだけ労働力を活用する、という方法がとられています。「人材のシェアリング」ともいえるサービスも近年発達してきました。
シェアリングエコノミーの仕組みを構築するのに必要な要件とはなんでしょうか。現在動いているシステムの共通点からそれらを探ってみました。
クラウドは、従来それぞれの端末やネットワークに合ったサーバーやNASなどのストレージを、インターネット上に設置して世界中のどこからでも、どんな端末からでもアクセスできるようにしたものです。
情報共有の仕組みとしては現段階で究極の仕組みと言えるでしょう。セキュリティーやプライバシー保護に対するリスクはつきものですが、それを差し引いてもこれからの世の中に及ぼす効果はとてつもなく大きなものがあります。
クラウドを利用して需要と供給を引き合わせるサービスです。
これまでのビジネスでは営業担当者が、足と口を使って需要を見つけ、掘り起こす手法がとられてきました。
インターネット社会におけるマッチングサービスは需要のある側が供給する側を自ら検索し、直接供給者側とコミュニケーションをとることを可能としました。
シェアリングエコノミーとは需要と供給が出会う時間を極限までに短縮することによって生まれる可能性の具現化であり、これまで全く想像もできなかったビジネスモデルの実践をつぎつぎに可能にしてきています。
これからの世の中の行く末はどうなっていくのか。見据えて先取りしていけば、UberやAirbnbなどのほかにもまだまだ新たなビジネスモデルのアイデアが出てくるでしょう。
もう一つ重要な機能が「決済」です。
需要と供給を結びつけるマッチングサービスが、うまくいく絶対条件の一つがスムーズに支払いと決済ができるかどうかです。
確かにお金を払ってもらえる保証があるという信用がネット上で完璧に構築できればこそエコノミーは成り立つといってよいでしょう。
キャッシュレス化はどんどん進展し、支払いは瞬時の電子情報のやり取りになっていきます。
「支払いやすい」ということは「集めやすい」ということ。シェアリングエコノミーは手数料のビジネスでもありますから、この点に注目すれば、これまでなかった新たなサービスに課金するなどの新しいビジネスモデルを構築できる可能性もあります。
今後のシェアリングエコノミーのビジネスモデルについて考察を加えてみました。
これまで購入して所有するのが当たり前だったものが、購入されなくなってきています。
給料が上がらず、終身雇用でもなくなっている今、モノを買わずに借りる、シェアするという発想が出てくるのは自然な流れでしょう。購入して消費する社会から、貸し借りなどで共有する社会へと変わってきているのです。
車・バイク・礼服などのスーツ・土地・住宅・カメラやレンズなどの高級品は必要な時借りればよいといえます。ローンを組んでまで高額な買い物をする人は減っていくでしょう。
日本の労働人口(15歳~64歳)は、 2020年には、バブル期である1990年の85%前後にまで減少するといわれています。さらに、2060年にはピーク時の半分になるという予測もあります。
出生率の低下もあいまって、これから労働力は減少する一方です。
少ない人数で労働生産性を上げたり、外国人の雇用を進めるための法律改正が行われているのはそのためです。
特にオフィスで行うような仕事のほとんどは在宅でもできるといわれています。リモートでの働き方に関する研究や実証実験も盛んにおこなわれています。
少子高齢化社会は、「社会保障費が足りなくなる社会」と言い換えてよいでしょう。
少ない予算の中、地域で助け合うというのが、厚生労働省が掲げる改革のコンセプト「地域共生社会の実現」です。
「地域共生社会」に必要なのが、地域の連携です。地域の学校・病院・介護施設・役場・町内会が、個人情報を含む、地域の情報を共有する必要が出てきます。
縦割りで動いていた組織が横のつながりを作ろうとするときにも、シェアリングエコノミーの仕組みを役立てることができそうです。
こう考えると無限にチャンスがあるように思えてきませんか。
少子高齢化社会、心配なことばかりが目につき不安になります。しかし、こうした世の中だからこそ、新しいサービスが必要とされるのです。
求められているのは「人と人が支えあう仕組み」の構築です。この時代だからこそ、需要と供給を最短時間で結びつけることができる、シェアリングエコノミーの出番だといえます。
あなたも、シェアサービスやマッチングサイトを運営して社会問題の解決に役立てませんか?
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