2000年代の半ばごろからメディアなどで盛んに取り上げられるようになったものに、空き家問題があります。
これは、少子高齢化や核家族化の進展、人口減少などによって全国各地に空き家が増加して社会問題化しているというものです。空き家の増加は地域コミュニティを不安定化させるばかりでなく、不審者の侵入や放火など、治安の悪化を招くリスクもはらんでいます。
こうしたことから、全国の自治体では空き家を適正に再利用できるよう、さまざまな試みを行っています。その1つが、空き家バンクの創設・運用です。遊休資産を有効活用したい人や、いわゆる「田舎暮らし」をしたい人などから注目を集めています。
空き家バンクとは、その地域に所在する空き家物件を登録し、賃借あるいは購入したいという人に情報提供を行うという事業です。自治体が直接運営している場合もあれば、NPO法人や民間事業者に委託されているケースもあります。
通常の不動産仲介業との違いは、まず空き家のみを対象としていること、そして公的性格の強い事業であることです。
さらに、空き家バンクは過疎化の進む地域を対象としていることが多く、仲介業者があまり扱わないような物件がしばしば登録されているのが特徴です。そのため、立地条件などの面で通常よりは資産価値が低い代わりに、市価よりも安値で借りたり買ったりできる物件を見つけやすいというメリットがあります。
空き家バンクの使い方はそれぞれの地域ごとに異なりますが、一般的には所有者が募集に応じて物件を登録するとホームページに公開され、それを見て利用者側がバンクにコンタクトを取り、交渉を進めるという流れになります。
契約に至るまでの流れも、情報提供のみを行って当事者同士の交渉に任せる場合があったり、間に事業者が入って仲介するケースもあったりとまちまちです。後者の場合は通常の不動産取引と同様に仲介手数料が発生しますが、自治体によっては手数料相当額を移住奨励金などといった名目で助成している例もあります。