パソコンに詳しい方でなければ 「IPアドレス」という言葉の意味はよくわからないのではないでしょうか。
インターネット初期の時代には、インターネットに接続するための設定を自分で細かく行う場面も多く、IPアドレスのことを考える必要があったかもしれません。しかし、スマホでインターネットにアクセスするのが一般的な現代では、ipアドレスを意識する機会はめっきり減りました。
とはいえ、意識していないだけでIPアドレスは今も同じように使われ続けています。インターネットと切っても切れない間柄のIPアドレスについて、少し詳しく見ていきましょう。
IPアドレスの話題に入る前に、そもそも複数のコンピューターがつながったネットワークとはどういうものか考えてみたいと思います。ここでは、難しい技術的な詳細は省いて、おおよその様子だけを考えます。
コンピューター1台だけでは当然ネットワークを作る事はできません。2台以上のコンピューター間で通信できるようにするのがネットワークです。
2台だけで通信する場合、送信先のコンピューターは必ず1台しかないので送信先に迷う事はありません。あたりまえですが、送信すれば必ず接続している相手に届き、受信すれば送信元も必ずわかります。一対一ですから。
では、沢山のコンピューターがつながっているネットワークではどのようになるでしょう。データを送信するときは、届けたい相手を指定して送信しないとどのコンピューターにデータを送りたいのかわかりません。受信の時も同じように、どこから送られてきたのか判断できなければ、返信しようにも困ってしまいます。
このように、沢山のコンピューターが接続されているネットワークでは、送受信の際に相手を識別するための仕組みが必要になります。
ネットワークにつながったコンピューターをそれぞれ識別するために、各コンピューターに他と被らない住所のようなものを割り当てることになっています。これがIPアドレスです。「アドレス」となっているのでまさに住所ですね。これで通信する時に送信先や送信元がわかるようになります。
IPアドレスのおおまかな意味がわかっていただけたと思いますが、IPアドレスのIPの部分は何かという疑問が残ります。
IPとは、住所の書き方のルールのようなもので、日本の普通の住所の場合も、京都府木津川市のように、都道府県、市町村、番地などで場所を表すようにルールが決められているのと同じです。
では、実際のIPアドレスの例を見てみましょう。
例 192.168.1.1
IPは、数字とドット(.)の羅列になっていて人がみると少し奇妙な形になっています。これは人ではなくコンピューターが処理しやすいように考えられたためです。なお、細かい話ですがIPにはバージョンの異なるルールがあります。ここでは、v4とよばれる現時点でもっとも使われているルールを例示しています。
このようなIPアドレスは、インターネットに接続しているスマホなどの機器にも必ず割り当てられています。割り当てられていないと通信ができないのです。
PCでもスマホでも、自分でIPアドレスを設定せずにインターネットにつながっていることも多いと思います。実は自動的にIPアドレスが割り当てられて自動で設定されているのです。
自動的にIPアドレスを割り当てる仕組みはDHCPとよばれています。
Wifiルーターにパソコンを接続するタイミングなどでDHCPが働いてIPアドレスが自動的に設定されます。
Wifiルーターの詳細な設定項目には、DHCPを利用するかどうかといった設定があります。試しにDHCPをOFFにしてからWifiルーターに接続すると、IPアドレスの自動割り当てに失敗して接続できない状況になるはずです。
IPアドレスは自動的に設定できる事を説明しましたが、逆に人がIPアドレスを割り振らないといけない状況はどんな時でしょうか。
IPアドレスを自動的に割り振る場合に問題になるのが、同じパソコンなどの機器に対していつも同じIPアドレスが設定されるとは限らず、IPアドレスを直接指定して機器を識別したい時に困った事になります。
このような状況は通常はあまり起こらないかもしれませんが、サーバーとして動かしているパソコンなどはIPが変わると、接続先がわからなくなるなどの面倒な事が起こるので、常に同じIPアドレスを割り当てることがあります。
IPアドレスについて基本的な説明を書きました。他にも細々としたルールがあって、踏み込むと難しい話になってしまいますのでここでは割愛します。
結局、リアルの世界で郵便を出すためには住所が必要なように、コンピューターネットワークでも送受信先を指定するための住所が必要という事になります。考えてみれば、そりゃそうだわなといった感じもするIPアドレスのお話でした。