シェアリングエコノミーの起業がさかんに行われていますが、新規事業の立ち上げには資金が必要です。
いろいろな資金調達の方法については下記の記事が参考になります。
今回は注目の資金調達方法、クラウドファンディングについてご説明します。
近年新しい資金調達の方法が出てきました。それがクラウドファンディング(Crowdfunding)です。Crowd とfundingを組み合わせた造語なのですが、「クラウド」は「群衆」という意味です。クラウドコンピューティング(cloud computing)の「クラウド」とは異なります。
不特定多数の多くの人から資金を調達する方法、といった意味合いです。
資金調達というと、お金を必要とする人が、お金を沢山持っている法人や個人から資金を援助してもらうというのがシンプルな形です。従来は、銀行や投資機関等が資金調達元となっていました。
インターネットの発達によって不特定多数の人に対して情報発信ができるようになり、たくさんの人から少額ずつの資金を提供してもらうという方法も可能になりました。
資金を必要とする人は、自分のアイデアをインターネット上で公開して、それに賛同する人々がお金を提供します。
出資する側にとっては、手軽に賛同できるプロジェクトを応援できるようになりました。
資金調達する側にとっても、優れたアイデアさえあれば、身近に出資者がいなくても資金を調達できるようになったのです。
クラウドファンディングの先駆けとして、「Kickstarter (https://www.kickstarter.com/)」が有名です。Kickstarterでは、アーティスト・クリエイターのために資金調達などのサービスを行っています。アメリカ発ですが、日本語版もあります。
クラウドファンディングには、リターンを求めない「寄付型」、金銭のリターンが発生する「融資型」、物やサービスなどの購入という形をとる「購入型」などの種類があります。
ここでは「購入型」の例として、「CAMPFIRE (https://camp-fire.jp/)」を見ていきます。
クラウドファンディングでは「提案する人」と「支援する人」の2種類の立場のユーザーがサービスを利用します。
まずは、メールアドレスかSNSアカウントを使ったユーザー登録が必要です。ユーザー登録が完了すると、プロジェクトの作成ができるようになります。プロジェクトが資金の募集単位です。
プロジェクトを作る際に、「目標設定」「概要」「ビジュアル」「本文」「リターン」「本人確認」を入力します。目標設定には、All-In 方式と All-or-Nothing 方式があります。これは、目標金額に達しなかった時に資金を受け取るかどうかの選択です。
各種入力項目を入力して申請すると審査が行われます。審査は即日~3営業日以内には完了するようです。通過すればプロジェクトが公開されます。
プロジェクトが公開されてから募集期間が終了するまでは、プロジェクトの情報を拡散するなどして、資金提供者を募ります。
プロジェクトの募集期間が終了すると、集まった資金が入金されるので、事業を実施し、お金を出してくれた人に約束したリターンを渡すといった流れになります。
集まったお金の全額が入金されるわけではなく、手数料と決済手数料合わせて17%が引かれた額が入金されます。あらかじめ必要な金額に手数料を乗せた額を目標金額としておかないと資金が不足しますので、注意が必要です。
資金募集のための操作自体はかなり簡単です。ネット上での資金調達がこんなに簡単にできるんだ!と少なからず驚きます。ただ、実際に資金が調達できるかどうかは、もちろんプロジェクトの内容やプレゼン力によります。
まずは、CAMPFIREのサイトで支援したいプロジェクトを探します。プロジェクトは下のようなカテゴリーに分類されているので興味のあるカテゴリーから選ぶのもよいでしょう。寄付的な内容のプロジェクトから製品開発の支援まで、様々な取り組みが満載されています。
気に入ったプロジェクトを見つけたら、そのプロジェクトのリターンや支援金額などの内容確認し、支払い方法を入力して支援完了、本当に手軽で簡単です。
クラウドファンディングで資金を調達する場合、不特定多数の人にアイデアを公開することができます。当然、多くの人目にふれる事になります。資金調達と宣伝・マーケティングを同時並行で行えるというのは、大変なメリットです。
例えばある製品開発のアイデアを公開したとして、閲覧や支援者が多く集まるのであれば、その製品は市場でのニーズや関心も高く、商品化しても売れる可能性が高いわけです。逆に、支援も集まらず、関心も低いのであれば、開発費用をかけて製造を始める前にプロジェクトそのものを中止するという判断もできるでしょう。
驚くほど簡単な手続きで、アイデアの是非を世に問い、資金が調達できるクラウドファンディングは、まさにシェアリングエコノミーそのものです。
日本政府も、経済成長戦略の一環としてクラウドファンディングを後押ししています。金融商品取引法等も改正され、クラウドファンディングを行いやすい環境が整っています。
終身雇用制が崩壊しつつあり、個人の起業や副業も推奨される中、クラウドファンディングという新しい資金調達の仕組みはさらに身近なものとなるでしょう。