購入すればかなり高価であろうソフトウェアが無料かつソースコードも公開され、今や社会の基盤となっていることをご存知でしょうか。オープンソースとは、ソフトウェアの設計図である「ソースコード」を誰でも自由に閲覧・利用・修正・再配布できる形で公開する仕組みを指します。これは「みんなで良いものを作ろう」という精神のもとで始まりました。この記事では、オープンソースの起源や歴史、どのように活動が維持されているのか、主なライセンス、そして有名なオープンソースソフトウェアについて、分かりやすく解説します。
オープンソースの考え方は、実はコンピュータが普及する前から存在していました。1950年代から1960年代にかけて、研究者やプログラマーはお互いに自由にコードを共有しながら技術を発展させていました。この頃、ソフトウェアはハードウェアの付属品のようなもので、販売目的というよりは、改善のために共有されるものでした。
しかし、1970年代後半から状況が変わり、ソフトウェアが商業化されるようになります。この流れに異を唱えたのが、プログラマーのリチャード・ストールマンです。1983年、彼は「GNUプロジェクト」を立ち上げ、完全に自由なソフトウェアを作ることを目指しました。そして1989年には、オープンソースライセンスの基礎ともいえる「GNU一般公衆利用許諾書(GPL)」が誕生します。
「オープンソース」という言葉自体は1998年に生まれました。それを普及させたきっかけは、Linuxの成功です。Linuxは1991年にフィンランドの大学生リーナス・トーバルズによって作られたオペレーティングシステムで、今や世界中で使われています。このようにして、オープンソースはソフトウェア開発の主流のひとつとなりました。
オープンソースプロジェクトは、多くの場合、世界中のボランティアや企業が支えています。その維持方法は次の通りです。
プログラマーやデザイナー、翻訳者など、多様なスキルを持つ人たちが集まり、プロジェクトを改善します。インターネットを通じて意見を交換しながら、新しい機能を追加したり、不具合を修正したりします。
Red Hat(Linuxディストリビューションの提供企業)やGoogleなど、多くの企業がオープンソースを支援しています。彼らは自社製品の改善や信頼性向上のため、エンジニアを派遣したり、寄付を行ったりしています。
個人ユーザーや小規模な団体が寄付を募るケースもあります。また、クラウドファンディングを通じて開発資金を集めるプロジェクトも増えています。
オープンソースを元にした有料のサービスやサポートを提供することで、収益を上げるモデルもあります。たとえば、WordPressは無料で使用できますが、有料のテーマやプラグインで収益を得ています。
オープンソースソフトウェアには、利用者が守るべきルールが定められています。このルールを「ライセンス」と呼びます。いくつかの代表的なライセンスをご紹介します。各ライセンスの詳細は原文を確認してください。
最も有名なライセンスのひとつで、利用者がソースコードを自由に利用・変更・再配布できる一方で、改変後のソフトウェアもGPLで公開する必要があります。
非常に自由度の高いライセンスで、ソースコードを改変しても公開義務がありません。企業でも個人でも利用しやすいことから、幅広く使われています。
商業利用を許可しつつ、利用者にソースコードの変更点を明示することを求めるライセンスです。クラウドサービスなどで利用されることが多いです。
MITライセンスに似ていますが、ライセンス文中にオリジナル著作者の名前を記載する義務があります。
オープンソースソフトウェアには、日常的に使える便利なものがたくさんあります。以下はいくつかの代表例です。
世界中のサーバーで動作しているオペレーティングシステム。Androidの基盤もLinuxです。
ウェブサイトやブログを簡単に作れるツールで、全世界のウェブサイトの43%がこれを利用しています。
高速で安全なウェブブラウザ。プライバシー保護が強化されています。
画像編集ソフト。Adobe Photoshopのような機能を無料で提供しています。
アニメーションや3Dモデルを作成できるソフトで、映画制作やゲーム開発に使われています。
私たちが提供している投稿方サイトが簡単に作れるWebサービス「SHARE info」も、オープンソースの恩恵を受けながらサービスを運営しています。例えば、SHARE infoはOSやWebサーバーなどのオープンソース技術を基盤として構築されています。これにより、高性能で信頼性の高いシステムを低コストで実現し、多くの方に手軽に投稿型サイトを作成・運営する機会を提供しています。
オープンソースの世界に触れることは、技術だけでなく、自由で協力的な社会を体験することでもあります。ぜひ、この素晴らしい世界に足を踏み入れてみてください!