インターネットを通じて自分のコンピューターから別の場所にあるコンピューター(サーバーや記憶装置) を使うことをクラウドコンピューティング、あるいは、 インターネットを通じてシステムが利用できるサービスをクラウドサービスと言います。
インターネットを表すための図には、しばしば雲の絵が使われていました。実体の見えないモヤモヤした物(インターネット)の向こうに別のコンピュータやシステムがあるイメージです。そこで「クラウド」と呼ばれるようになったようです。
クラウドコンピューティングをざっくり言えば、ネット経由でコンピューター本体丸ごとを利用する事。コンピューターに詳しい人が利用するイメージです。
クラウドサービスは、 ネット経由でシステムが利用できるサービスです。自分のコンピューターにソフトをインストールせず、ウェブブラウザなどを使ってシステムを利用します。
クラウドの反対の意味の言葉として、「オンプレミス」という言葉があります。自宅あるいは社内などにあるコンピューターの中に、システムをインストールしている使う方法のことです。
旧来はこの方法がほとんどでした。例えばMicrosoftのWordを自分のパソコンにインストールして利用している方も多いと思いますが、これは「オンプレミス」に相当します。
2007年ごろから、クラウドやSaaSのサービスが普及し始めたため、クラウドとの区別のために「オンプレミス」という言葉が使われるようになりました。
インストールの手間やコンピューターの管理が不要になので、初心者でもすぐに使い始める事ができます。 メールアドレスとパスワード等でユーザー登録をするとすぐに使えるクラウドサービスがほとんどです。
必要な時に必要なだけサービスが使える点も嬉しいところです。例えば、ビジネスが小さい時には低価格のプランで少しだけ使って料金を抑え、利用料が増えるに従って上位プランにアップグレードするといった使い方ができます。
プログラムのアップデート等は自動的に行われます。メンテナンス不要のはとても助かります。そもそもシステムは自分のコンピューター内にはないので、維持管理をする必要がないのです。
クラウドサービスにはいくつかの種類があります。
SaaSとは、「Software as a Service」の頭文字を取った略語で「サース」と読みます。 ソフトをサービスとして提供している形態です。
例えば、ブラウザからアクセスして使うワープロソフトの場合、CDなどから自分のPCにソフトをインストールして利用するわけではありません。単にWeb上でサービスにアクセスすれば利用できます。
ソフトを所有しているわけではなく使うだけです。ソフトのユーザーはソフトを入手しているのではなく、ソフトが使えるサービスを使っていると言えます。
ソフトを提供している会社の側は、 利用してもらった分課金などを行います。 作ったソフトそのものを納品するわけではありません。
PaaSは「Platform as a Service」の頭文字を取った略語で「パース」と読みます。 これは、ソフトを使っている方にはあまり関係ないか、知らないうちに間接的に使っている類のサービスかもしれません。
OSやプログラムの開発環境など一式をクラウド上で提供しているサービスという意味になります。
IaaSは「Infrastructure as a Service」の頭文字を取った略語で「イアース」と読みます。 Amazon の AWS が有名です。
技術者等、サーバーやシステムの知識のある方が利用する場合がほとんどです。
ざっくり説明すると、コンピューターはコンピューター本体にOSが入っていて、ハードディスクがつながっていて、ネットワーク用の機器がつながっていたりします。これをクラウド上でそれぞれの部品のような単位で組み合わせて利用できるサービスです。
PaaSとIaaSは専門的な使い方になるので、ここではSaaSで提供されているサービスの例を挙げます。
皆さまおなじみのGmailもクラウドサービスです。Googleが所有しているどこかにかるGmail用のサーバーにアクセスしてインターネットメールが利用できるサービスです。
Apple が提供するクラウドサービスです。iPhoneからも利用できますしAppleユーザーにはなじみ深いと思います。画像やバックアップなどの各種のデータを保存したりできます。iPhoneのバックアップデータをiCloudに置いておき、何かあった時にはiCloudに置いていたデータを使って復旧するなどができます。
クラウドにメモなどが保存できるサービスです。Evernoteに保存しておけば色々な機器から同じデータにアクセスができるので便利です。例えば、会社のWindowsでEvernoteにファイルを置いて、自宅のMacでそのファイルを見る事ができます。音声や写真なども保管できるようです。
クラウドサービスの場合、入力されたデータの保存先は、サービス提供会社が管理しているコンピューターの中だということを忘れてはなりません。
クラウドサービスの提供会社が物理的にはそのデータにアクセスできてしまうことになります。 例えば社外に漏れては困るような重要なデータを扱う場合、クラウドを利用するかどうかは慎重に検討した方が良いでしょう。企業によっては、社内規定でクラウドサービスの利用を禁止している所もあります。
メリットがいっぱいのクラウドコンピューティングですが、セキュリティー面にやや不安があります。ただ、世の中の流れはクラウドを活用する方向に流れているので、心配だからといって、クラウド無しで全ての業務を完結するのも難しくなってきています。
便利さだけにとらわれず、セキュリティーの兼ね合いをしっかりと考えながら利用することが大変重要です。