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メルカリが消費者に与えた購買行動の変化とは?

2013年のリリース以降、爆発的に成長を続けるフリマアプリ「メルカリ」。この記事をご覧の方にも、実際にアプリを利用されている方は多いのではないでしょうか。

メルカリの普及により、日本全国を巻き込んだシェア市場が形成され、消費者の購買行動が大きく変わりつつあります。では、メルカリは我々にどのような変化をもたらしたのでしょうか。通常のシェアサービスとメルカリとの違いについても解説します。

メルカリとは

メルカリとは、オンラインのフリーマーケット上で、ユーザー間で商品とお金のやり取りができるアプリです。2013年7月にリリースされ、若者を中心に爆発的に普及。日本国内では7,500万ダウンロード、月間利用者数1,100万人、累計流通額1兆円という驚異的な数値を記録しています

(参考:フリマアプリ「メルカリ」、サービス開始から5年で累計流通額が1兆円を突破 | 株式会社メルカリ)

このメルカリの普及により、アプリだけではなく現実世界でも、消費者の消費行動が変わったと考えることができるのです。

シェア時代の新たな消費行動モデル「SAUSE(ソース)」

メルカリと三井総合研究所は、2019年2月26日、シェアリングエコノミーに関する共同研究の結果を発表しました。両社の研究によると、メルカリなどのフリマアプリの普及により、消費者の消費・購買行動が、これまで発表されていたAIDMAやAISASといった購買行動モデルと大きく異なることがわかりました。

新たな消費行動モデルでは、消費者はSearch(検索)、Action(行動)、Use(一時利用)、Share(再販売)、Evaluation(評価)という一連の行動をとります。その行動の頭文字をとり「SAUSE(ソース)」と名づけられました。

新たな消費モデル「SAUSE」においては、これまでの消費者行動と以下のような点が異なります。

Use(一時利用):「所有」ではなく「一時的な利用」へ

フリマアプリの普及により、消費者は、「商品購入後、使用に満足したらその商品を転売する」という意識で購入するように変化しました。

つまり、商品を購入しても、それはあくまで「一時利用」。フリマアプリの利用者は、いずれ手放すことを念頭に、商品を購入します。

Share(再販売):満足したらフリマアプリで販売

アイテムの一時利用に満足したら、フリマアプリを通じ再販売します。このようにして、あるアイテムが国内で共有されるかのように流通しているのです。

Evaluation(評価):「売値-再販売値」が実質の価格評価に

メルカリなどのフリマアプリを通じ再販売ができるため、ユーザーが実感する商品の価格は、商品の売値から、再販売時の売値や手数料を引いた額となります。

これにより、新品の商品を購入する際の価格が、高価格帯にシフトする人も増えてきています。新品の商品購入時には高価であっても、再販売時の値段も高ければ、個人の実質負担はそれほど高くなくて済むからです。

「フリマ」の日常化は「シェア」になる

所有ではなく一時利用という意識で商品を手にし、満足したら再販売を行う。再販売時の価格を意識して、新しい商品を購入する。フリマアプリの普及により、このような新しい消費行動が生まれています。これにより、ユーザーは低コストで様々な商品を利用することができるのです。

このように、メルカリを「必要な時だけ必要なモノを利用できるサービス」としてとらえ、日本国内でアイテムをシェアするかのように暮らす人が増えています。

実際にどのようなアイテムが「シェア」されているのか

メルカリで実際にどのようなものが「シェア」されているのかは、流通する商品の種類を見ればわかります。

2018年に実施されたメルカリの調査によると、男性の場合はトレーディングカードやテレビゲーム、服や時計などのファッションアイテムが売上額上位となりました。女性の場合もバッグやアクセサリーなどのファッションアイテムがメインですが、子ども用のおもちゃも上位にランクインしています。

ファッション用品はその時その時の流行や、自分の雰囲気にあわせて選びたいものですし、ゲームやおもちゃはしばらく遊んだら満足しやすく、子どもの成長にあわせて不要になるなど、ライフサイクルが早いものと言えるでしょう。

このような一時利用に適した商品が、メルカリで取引されています。

参考:メルカリが年代・性別ごとの利用動向を調査 売上額は年代が上がるにつれ増加することが明らかに:MarkeZine(マーケジン)

フリマアプリとシェアリングサービスの違いとは

これまで説明したように、メルカリのようなフリマアプリが流通すると、ユーザーからはシェアリングサービスのように利用されていきます。ですが、通常のシェアリングサービスとメルカリのようなフリマアプリには大きな違いもあるのです。

それは、フリマアプリの場合、再販売しても購入者がつかなければ、「安い価格で一時利用できる」というメリットを享受できないことです。

通常のシェアリングサービスでは、一つのモノを全員で共有します。例えばカーシェアリングサービスでは一台の車を、シェアオフィスは一つのオフィスを複数人で利用します。複数人で共有することにより、一人で使うよりも安い価格でサービスを利用できるのです。

一方、フリマアプリの場合は一時的に所有者が決定します。利用に満足し、誰かに再販売したくなったとしても、買い手がつかなければ販売することはできません。再販売できなければ、結果的にシェアではなく、単純に「フリマアプリで商品を購入した」だけとなります。

終わりに

メルカリなどのフリマアプリは、一つのものを全員で共有するシェアリングエコノミーとは厳密に異なります。しかし、上手に利用すれば、「シェア」の恩恵を受けることも可能です。「広義のシェアリングエコノミー」と言えるかもしれません。

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