パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデジタル端末の出力装置として欠かせない液晶ディスプレイですが、その歴史をひも解くには、今から130年前の1888年まで翻らなければなりません。
当時、オーストリアとドイツの科学者が流動的な結晶(液晶)「コレステリック液晶」に関する研究を行っていました。その後、彼らの研究が世界的に広がり、人々の生活に欠くことのできない存在となることなど、夢想だにしなかったことでしょう。
この研究はその後約20年の長い「眠り」につくことになります。研究が再び注目を集めるようになったのは1960年代で、液晶に関する研究が活発化し、コレステリック液晶が温度計などに採用されたほか、液晶ディスプレイの実現可能性が見出されました。
アメリカでは最初の液晶モノクロ表示装置が考案されたほか、1970年代には日本の液晶ディスプレイが電卓やワープロ、携帯型ゲーム機などに採用され、普及が拡大したのです。
1980年代になるとアメリカで液晶ディスプレイの製造が本格化し、日本も初の液晶カラーテレビを登場させるなど日米で開発競争が激化しました。1990年代には液晶ディスプレイが大型化し、2000年代になると画面の高速化や画質の高度化が進行。
2010年代は、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末に最適化されたモデルが次々と開発され、現在に至ります。
1990年代まで、日本は液晶ディスプレイの製造をお家芸としていましたが、後発国の韓国や台湾に次第にシェアを奪われてしまい、現在は韓国と台湾で世界のシェアの8割を占めます。
液晶ディスプレイは多くの技術革新を経て現在は様々な機能を有するようになり、今後もさらなる飛躍が期待されています。
新技術としては、裸眼のままで3D画像が体験できる「3Dビュー」と呼ばれる技術やタッチパネルと基盤を融合させる技術、名刺や指紋などを画面を通して読み込むスキャナー機能などが実用化されそうです。