プラットフォーム運営・シェアリングエコノミーサービスに役立つ情報

Webアクセス解析におけるリテンション(継続率)の重要性

Webサイトやアプリのアクセス解析における「リテンション(Retention)」とは、ユーザーがどれくらいの期間、サービスやコンテンツを使い続けているかを示す指標です。日本語では「継続率」と訳されることが多いです。

リテンションは、ユーザーがサービスにどれだけ満足し、魅力を感じているかを測る上で非常に重要な指標となります。リテンションが高いということは、ユーザーがサービスに定着し、継続的な利用が見込める状態であることを示唆します。

リテンションが重要な理由

リテンションを重視する理由は主に以下の3点です。

  1. 収益向上への貢献:
    リテンションが高いと、既存ユーザーからの継続的な利用や購入が見込めます。新規ユーザーの獲得コストと比較して、既存ユーザーの維持コストは一般的に低いため、リテンション向上は効率的な収益向上につながります。
  2. サービスの長期的な成長:
    ユーザーがサービスに定着することで、長期的な成長が見込めます。リテンションが高ければ、口コミや紹介による新規ユーザーの獲得も期待でき、さらにサービスが成長していく好循環が生まれます。
  3. サービスの改善点発見:
    リテンションの低下は、サービスやコンテンツの課題を示す可能性があります。リテンションを分析することで、ユーザーが離脱してしまう原因を特定し、サービスの改善につなげることができます。

リテンション率の算出方法

リテンション率は、一般的に以下の計算式で算出されます。

リテンション率(%)=(特定期間内にサービスを利用した既存ユーザー数 ÷ 特定期間開始時点の既存ユーザー数)× 100

例えば、

  • あるWebサイトにおいて、7月1日に会員登録していたユーザーが100人いたとします。
  • そのうち、7月中に一度でもWebサイトを利用したユーザーが70人だった場合、
  • 7月におけるリテンション率は(70 ÷ 100)× 100 = 70%となります。

リテンション率の計測期間

リテンション率を算出する際に設定する期間は、サービスの特性や目的に応じて異なります。

  • 日次リテンション: 1日単位のリテンション。アプリなど、頻繁な利用が想定されるサービスで重視されます。
  • 週次リテンション: 1週間単位のリテンション。1週間のサイクルで利用が変化するサービスに適しています。
  • 月次リテンション: 1ヶ月単位のリテンション。WebサイトやECサイトなど、月単位で利用状況が変動するサービスでよく用いられます。
  • 四半期・年次リテンション: より長期的な視点で、ユーザーの定着状況を把握する際に用いられます。

リテンション率を分析する際のポイント

リテンション率を効果的に分析するためには、以下の点を意識しましょう。

  1. セグメント分析:
    年齢、性別、地域、利用頻度などの属性でユーザーをセグメント分けし、リテンション率を比較します。特定のセグメントでリテンションが低い場合は、その原因を調査し、対策を講じる必要があります。
  2. コホート分析:
    同じ時期にサービスを利用開始したユーザーグループ(コホート)ごとに、リテンション率の推移を比較します。これにより、特定の時期にサービスを使い始めたユーザーの定着率が低い場合、その時期の施策やコンテンツに問題がある可能性を特定できます。
  3. 離脱ユーザーの分析:
    サービスから離脱したユーザーの行動を分析し、離脱の要因を特定します。アンケートやユーザーインタビューなどを活用し、具体的な課題を見つけ出すことが重要です。
  4. 目標設定とKPI:
    リテンション率の目標値を設定し、達成度を定期的に確認します。目標達成に向けて、具体的な施策を立案・実行し、効果測定を行う必要があります。

リテンション率を高めるための施策例

リテンション率を高めるためには、様々な施策を複合的に実施する必要があります。以下に具体的な施策例をいくつかご紹介します。

  • オンボーディングの改善: 新規ユーザーがサービスをスムーズに使い始められるよう、分かりやすいチュートリアルやガイドを用意します。
  • ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上: ユーザーが快適にサービスを利用できるよう、UI(ユーザーインターフェース)の改善やサイトの高速化を行います。
  • パーソナライズされたコンテンツの提供: ユーザーの興味や関心に合わせて、カスタマイズされた情報やコンテンツを提供します。
  • プッシュ通知やメールマーケティングの活用: ユーザーにサービスの利用を促すために、適切なタイミングでプッシュ通知やメールを配信します。
  • ロイヤリティプログラムの導入: ポイント制度や会員特典などを設け、ユーザーの継続利用を促進します。
  • カスタマーサポートの強化: ユーザーからの問い合わせに迅速かつ丁寧に対応し、顧客満足度を高めます。
  • コミュニティ機能の提供: ユーザー同士が交流できる場を提供し、サービスのエンゲージメントを高めます。

まとめ

リテンション(継続率)は、Webサイトやアプリの長期的な成功に不可欠な指標です。リテンション率を定期的に分析し、ユーザーの動向を把握することで、サービスの改善点を見つけ、ユーザーの継続利用を促進することができます。

リテンション向上は、一朝一夕で達成できるものではありません。継続的な分析と改善を繰り返すことで、ユーザーに愛されるサービスを育てていきましょう。

SNSでフォローする